骨盤底筋ってなに?ゆるみサインと今日からできるセルフケア
「骨盤底筋(こつばんていきん)」という言葉を耳にする機会が増えてきましたが、
- どこにある筋肉なのかイメージがわかない
- 尿もれや下腹ぽっこりが気になるけれど、年齢や産後のせいだと思ってあきらめている
そんな方も多いのではないでしょうか。
この記事では、骨盤底筋の基本的な役割から、見逃しがちな「ゆるみサイン」、そして今日からできるセルフケアのヒントまでをやさしく解説します。
「もしかして自分のことかも?」と思った方は、ご自身の体と向き合うきっかけにしていただけたらうれしいです。
骨盤底筋ってどこにある?どんな役割?
骨盤底筋とは、その名のとおり「骨盤のいちばん下(底)」に広がっている筋肉の集まりです。
骨盤の内側で、膀胱・子宮・直腸などの臓器を下からハンモックのように支えているイメージを浮かべてみてください。

目で見ることができない場所ですが、骨盤底筋には主にこんな役割があります。
- 排泄コントロール:尿や便を「出す・我慢する」調整をする
- 臓器のサポート:膀胱・子宮・直腸などが下がらないように支える
- 姿勢の安定:おなかの中の圧(腹圧)を支えて、体幹を安定させる
- 性の健康:性交時の感覚や心地よさに関わる
実は、「トイレ」「姿勢」「おなか」「デリケートゾーンの心地よさ」など、私たちの日々の生活の快適さに大きく関わっている筋肉なのです。
こんな不調は「骨盤底筋サイン」かも?
骨盤底筋が弱くなったり、うまく働かなくなってきたりすると、体にさまざまなサインがあらわれます。
よくある体のサイン
たとえば、こんな症状に心当たりはありませんか?
【チェックポイント】
□ くしゃみ・咳・笑ったときに「チョロッ」と尿がもれる
□ 走ったり、ジャンプしたりするときに不安がある
□ トイレに行ったあとも、なんとなく出切っていない感じがする
□ 最近、トイレが近くなった気がする
□ 長時間立っていると、下腹部やデリケートゾーンが重く、引っ張られるような感覚がある
□ 産後から下腹ぽっこりが気になりはじめた
□ セックスのときに痛みや違和感が出やすくなった
これらは必ずしもすべて骨盤底筋だけの問題とは限りませんが、筋力が弱っていたり、バランスが崩れているサインのひとつである可能性があります。
心のサイン・生活への影響
体のサインが続くと、こんな気持ちの変化も生まれがちです。
- 「尿もれが心配で運動を楽しめない」
- 「長時間の外出や旅行に不安を感じる」
- 「パートナーとの時間が“痛み”や“恥ずかしさ”と結びついてしまう」
「年齢のせい」「産後だから仕方ない」と我慢してしまう方も多いですが、放っておかずにケアできる部分もたくさんあります。
骨盤底筋が弱くなりやすいタイミング・原因
骨盤底筋は、年齢とともに自然に変化していきますが、特に負担がかかりやすいタイミングや生活習慣があります。
1. ライフステージによる変化
- 妊娠・出産:重みによる負荷や、出産時のダメージを受けることがあります。
- 更年期以降:女性ホルモン(エストロゲン)の減少により、筋肉や粘膜の状態が変化しやすくなります。
- 加齢:他の筋肉と同じように、加齢とともに筋力が低下する傾向があります。
2. 生活習慣・体の使い方
- 姿勢:長時間のデスクワーク、猫背、反り腰など
- トイレ習慣:慢性的な便秘、トイレで強くいきむ癖
- その他:重い荷物を持つことが多い、慢性的な咳など
これらが重なると、少しずつ骨盤底筋への負担が蓄積していきます。
「思い当たるものがいくつかあるかも…」という方は、早めにケアを始めるタイミングといえるでしょう。
自分の骨盤底筋、ゆるんでる?セルフチェック
骨盤底筋の状態を正確に知るには医療機関での診察が必要ですが、ここでは「ケアのきっかけにするための簡単チェック」をご紹介します。
おうちでできる簡単チェック
イスに座って姿勢を正し、軽く息を吐きながら「おなら・膣・おしっこを我慢する」イメージで下からキュッと締めてみてください。

【チェックポイント】
□ お尻や太ももではなく、骨盤の中が少し引き上がるような感覚がありますか?
この感覚がわかりにくい場合、骨盤底筋が弱まっていたり、動かし方を忘れてしまっている可能性があります。
※ご注意ください※
実際にトイレでおしっこを意図的に止めたり、我慢したりする行為は膀胱炎などの原因になることがあるためNGです。あくまで「イメージ」として行ってください。
今日からできる骨盤底筋ケアの基本
「トレーニングが大変そう…」というイメージを持たれがちですが、まずは姿勢・呼吸・日常のちょっとした意識から始めるだけでも、大切な土台づくりになります。
まずは姿勢と呼吸から整える
背中を丸めた「猫背」や、腰を反りすぎた「反り腰」は、骨盤底筋の働きを邪魔しやすい姿勢です。
イスに座るときは深く座りすぎず、お尻の下の「坐骨(ざこつ)」でイスをとらえるイメージで、背筋をすっと伸ばします。

息を止めず、ゆっくり吐くことを意識してみてください。
息を吐くときに、下腹〜骨盤のあたりが内側に「スッ」と引き込まれるような感覚を探ってみましょう。
「姿勢をととのえる+呼吸をととのえる」だけでも、骨盤底筋が働きやすい準備になります。
日常生活でできる小さな工夫
トレーニングだけでなく、普段の習慣を少し見直すこともケアにつながります。
- トイレで「念のためにもう一回いきむ」ことを減らす
- 重いものを持つときは、息を止めず、体全体を使って持ち上げる
- 1時間に一度は立ち上がって伸びをする
「これならできそう」と思えるものから、1つずつ取り入れてみてください。
フェムケア・フェムテックと骨盤底筋ケア
FemTure Houseでは、骨盤底筋ケアを「トレーニングだけ」ではなく、暮らし全体を整えるフェムケアの一部としてとらえています。
ケアと相性の良いアイテムの例
- 吸水ショーツ
尿もれや経血モレへの不安がやわらぐことで、外出や運動に前向きになれるお守りのような存在です。 - デリケートゾーンの保湿ケア
乾燥やヒリヒリ感が軽くなることで、日常の快適さやセックスの痛みの軽減につながる場合もあります。 - トレーニングサポートグッズ
膣に入れて使うタイプや、座るだけでトレーニングできるものなど、さまざまなアイテムがあります。
アイテムはあくまで「サポート役」です。
自分の体の状態を知り、生活習慣を見直すという土台がある上で、便利なアイテムを上手に取り入れていくと、より安心して続けやすくなります。
FemTure Houseでは、「どのアイテムが自分に合うのか」「何から始めたらよいのか」を一緒に考えるお手伝いをしています。
受診・専門家に相談したほうが良い場合
セルフケアで対応できる範囲を超えていると感じるときは、早めの受診が安心につながります。
- 尿もれや臓器の下垂感がつらく、生活に大きな支障が出ている
- 膣の入り口から何かが出ているような感じがある
- セックスの痛みが強く、つらさを我慢している
このような場合は、婦人科・泌尿器科・女性泌尿器外来、または骨盤底筋リハビリを行っている医療機関などに相談してみましょう。
まとめ:自分の「からだの土台」に気づくきっかけに
骨盤底筋は、ふだん意識することが少ない場所ですが、トイレ・姿勢・下腹部・デリケートゾーンの快適さなど、毎日の生活に深く関わっている「からだの土台」のような存在です。
「年齢のせい」「産後だから仕方ない」とあきらめる前に、自分の体からのサインに気づき、小さなセルフケアから一歩を踏み出してみること。
それだけでも、これから先の暮らし方が、少しやさしく変わっていきます。
FemTure Houseでは、情報提供やアイテムのご提案を通して、「自分のからだと仲良く付き合っていくためのヒント」をお届けしていきます。
気になることがあれば、どうぞ一人で抱え込まずにご相談ください。


